漫画家に未来はあるのか?

仕事はあるのに何故こんなにお金が足りないのか?
旦那が無駄遣いするから?
原稿料がアレだから?

それもあるけど一番の出費は子供の学費だろう。
子供は二人とも公立高校だったので(しかも自転車通学)助かったが、大学生になった長男は私立の理系に進んだので学費が高い!
月額11万円。それでも自宅から近いので交通費や下宿代がかからないのは助かる。
学習塾は行かせられないので通信教育のたぐいしかやらせたことがない。
思えば高卒で就職していれば、まだ家計は助かったのだが、大学を卒業させるまでが親の務めと考えて来たので仕方ない。

以前から書いているように、学習まんが家は原稿料しか収入がない。
自由業者は仕事がなければ失業者と同じ。しかも失業保険もなし。
結婚して子供がいること自体が「贅沢」と言える。
しかも大学まで行かせるとなると、さらに「贅沢」だ。
それなのに第二の就職氷河期が到来しそうだし。

で、同じような年齢の漫画家を見ても、結婚しても子供を持たない夫婦は多いし独身者も多い。
むしろ一人ならなんとか食べて行ける。

そういう人から見れば家のような家庭は無謀に思われるかもしれません。
でも、将来のことは誰にもわかりません。自分にもわかりませんから。(今も未来も)
今は商業漫画誌で描いている漫画家も家と同じような境遇になっていると思います。

出版不況で単行本の初版が数千部しか出ない。(印税数十万円)
あるいは単行本すら出してもらえない。
昔と違って単行本で利益を出すことすら難しくなってきています。
雑誌に連載があれば家族を養える時代は終わった。(もちろんヒットすればそんなことはない)
漫画雑誌はこれからどんどん淘汰されると予想される。
いつ仕事がなくなってもおかしくない状況。(打ち切り、雑誌の休刊)
業界では携帯漫画が流行っている、と言うけれどワタシには眉唾モノに思える。
それで儲かる漫画家は限られた人になるはずだ。クリックしてもらえない漫画家は沢山いると思われます。(ランキング上位者ばかり見られる)
今の経済の仕組みを考えると漫画家の二極化が進むだけだと思う。
本屋を見ればわかる通り、作品の善し悪しでなく、売れるものしか扱わなくなっていくだろう。
プロの漫画家を目指す人も少なくなっていると聞く。
なかなか収入に結びつかないプロを目指すよりも同人誌活動をする方が収入に結びつくからだ。しかも自分の好きなように描ける。

これからは漫画家も絵本作家や劇団員のように副業を持ちながら「兼業」する時代になるのでは、思う。
でも漫画の難しいところは何時間働けば終わる、という見通しが立たないところと締め切りがあることだ。
他に仕事を持っていたらその時間は確実に拘束されてしまう。疲れた身体で漫画を描く気力が残るのだろうか?と思うと兼業も厳しそうだ。
連載をもらったらアシスタントを使わないで一人で描ける絵柄を考えたほうがいい。(複雑な絵は描かない、デジタルで作業を効率化させる)
結婚しても実家に同居して(家賃がかからない)連れ合いにも仕事をしてもらうのがベストだ。
そして子供が生まれたらすぐに学資保険などに加入して将来の受験・入学資金を積み立てておくこと。(これは早くかければそれだけ月払いの金額が低いので毎月の負担が少ない)

だからワタシはこれから漫画家を目指そう、と思っている人達には「止めておいたほうがいいよ。」と言いたい。
普通に就職して漫画は趣味で描いて同人誌活動をしているほうが幸せだよ、と。
無責任に「必ず幸せになれるよ!」なんて言えない。
人並みの生活さえままならないからだ。

もちろん将来のことは誰にもわからない。
悔いを残さないよう夢を追求することも大切だけど、撤退する勇気、判断力も持っていたほうがいい。
大ヒット作のある漫画家すら一生安泰か、とは誰にも保障できないのだから。

とにかくワタシは家族が食べていける収入があればそれで満足です。
その収入源が漫画であれば尚更です。できることなら生涯現役であり続けたい。
そして今の自分にできることとして、仕事を依頼してくれた人と読者に満足してもらえるような漫画を描くことと、いつも向上心を持って更に良い作品を作る努力をすること。
この2点です。
by mieru1 | 2008-11-03 02:06 | 漫画を描くこと | Comments(0)
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