命を吹き込む

ここしばらく時間があるので絵を描いています。
ホームページやブログにアップするイラストを、と思いましたが全然気に入らない。
というか、前から一枚絵って苦手で、描いていても漫画を描くほど面白く無い。

どうしてか、と思い当たったのが
漠然と描いているキャラクターに特に思い入れがないからだと気付いた。

以前、漫画を描く楽しみの一つに、
「そのキャラになり切って描く。
何人もの人物に自分が変身できる楽しさがある。」
と書きましたが、漠然とイラストを描いていても初めて描くどんなヤツかよくわからないキャラクターに感情移入できるわけもないので今一つ描いていて面白くないと気付きました。
同じイラストでも自分の馴染みのキャラだと気持ちの入り方が違うでしょう。
あるいは小説や映画などで愛着のあるキャラだとか。

そういえば今、漫画の現場では
絵は描けないけど原作からネーム起こしまでやる「原作者」が重宝がられていると聞きます。(そういう原作者を募集する賞もある)
そしてその原作者が描いた通りに絵を描く(これがいわゆる「絵師」というのでしょうか?)漫画家。
指定された設計図通りに家を完成させるのと似ています。

ここで原作者と漫画家(絵師)はお互い一番オイシイところをやっていないな、と思ったのです。

原作者はキャラクターに自己投影して面白いネームを切ったとしても、漫画家のほうが特にその原作に共感できない場合・・・・
(例えば熱血スポーツ漫画の原作をスポーツなんて興味ない漫画家が描くことを想像してみてください)
本当は編集者がそのへんのコラボレーションを上手くやるのが、コンビの肝になってくると思いますが、だいたいこういう場合、編集者の手ゴマの中から絵が上手い人を採用するだろうから、相性は二の次三の次になってしまいます。
その原作が興味のない人まで巻き込むほど面白いものならともかく、原作者の世界が全面に出るような原作だったら・・・(諸星大二郎とか)

原作者が思い入れたっぷりでネームを切ったとしても、演技をつける作業は他人任せ。
映画監督ならば役者の演技についてあれこれ注文できるけど、漫画を描く作業はそれが出来ない。
で、漫画家のほうも宛てがわれたキャラクターに絵コンテ通りの絵を描くだけだったら・・・・
きっと完成した原稿を見て「私の言いたかったことの半分も表現できていないじゃないか!」ということだってあるはずだ。

キャラクターが魅力的かそうでないかが漫画の面白味を決めるとしたら
一番大事なところがなおざりになってしまうわけだ。

20年近く前、「マガジンの漫画はどうも企画ものくさくってキャラクターも魅力なくて面白くないなぁ。」と思っていたけどそういうことだったのか。
いかにも「描かされている」感が伝わってくる。
当時、サンデーのほうはまだ漫画家の描きたいことを尊重していたけど、マガジンは原作をあてがってコンペにかけ、誰に描かせるか、という感じだった。
あるいはハッキリと「話はオレが考えるからお前は絵だけ描いてろ。」という場合もあった。

特に週刊連載は分業しないと成り立たないほど過酷な労働環境だ。
絵を描くだけの「仕事」は週刊連載では辛いだろうな・・・・

今は現場がどうなっているのか知らないが、漫画界の元気のなさは、こういった制作現場と関係ないとは言い切れまい。

お話とキャラクターに命を吹き込む作業。
これが漫画を描く一番の楽しみなんだと思うワタシには
一番オイシイところができないなんて、モッタイナイ!と思う。
by mieru1 | 2008-05-08 20:56 | 漫画を描くこと | Trackback | Comments(0)
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