(自分にとっての)少年漫画 イズ デッド

先日息子が週刊少年ジャンプを拾ってきて、久しぶりに読んだ。
読んだと言ってもパラパラとめくって読もうかと思った漫画が「こち亀」以外なかったので読んだともいえないのだが。

しかし、今の漫画の書き込みぶりはすごいですね。
毎週これだけのものを描く労力を思うと御苦労さん、と思う反面
これだけのものを描いて読みたい漫画がないのってどうだかな−ーー、と思う。

大学生の息子がいうにはジャンプ、マガジン、サンデーの3誌の中で一応読めるのがジャンプだけど、それも削除して残った結果で「これが一番面白い!」と言えるものではないらしい・・・
(そんな「通」な漫画読者の息子が好きな漫画家が、ますむらひろしと小林源文っていうのも何ですが・・・・・なにこの不思議な組み合わせ)

先日BSでやっていた石ノ森特集で「ジュン」の原稿が出ていたんですが
自然物の上手さにびっくりしました。
(すいません、石ノ森作品って「原始少年リュウ」しか読んでないんです)
あれは何かを模写したんじゃなくて、自分の頭の中にある映像を表現したものだと思われます。
この作品自体、抽象的なイメージが出て来るようですが、
その自分のイメージをピタリと表現できる力は羨ましいです。

「手塚治虫 原稿の秘密」という本をパラパラめくっていて思ったのが
自分はこの時代の漫画の画面がとことん好きなんだということでした。
(もちろんお話も)

トーンは本当に必要最低限に使い、墨と白のコントラストが自分にとって実に心地よかった(快感に近いかも)。
その肝になるのがペンタッチ。
劇画のように背景全てをペン一つで表現するところが見ていて気持ちいいし、憧れた。
(手塚漫画も細かい点と線のメリハリで表現している)
子供漫画は単純な線でデフォルメが効いていて、子供の頃、似顔絵を描いてみたくなった。

70年代前後の少年漫画が好きだったのと、コントラストのメリハリがついた画面が好きなのもあって
自分の描く漫画は「線が太い」んだな、と改めて気付いた。

そしてふと思ったのが「今、自分が子供でジャンプを読んでいたら、きっと漫画家になりたいって思わなかっただろうな。」ということでした。
それだけ今風の「リアルに」書き込んだ漫画の画面に「魅力」を感じないのです。
だいたい複雑すぎて似顔絵を描いてみたい気になりそうにないし。
もちろんお話にも入っていけそうにないし。
何かゲームの世界みたいな漫画ばかりで現実の子供の世界と地続きな漫画がなさすぎる。
スポーツ漫画もほとんどないし。



髪の毛のつやベタ、トーンで色塗りしているかと思うほどグレー部分が多い画面。
背景は写真をトレースして漫画というよりはリアルなイラストみたいな。
服のしわとか省略しても構わない所まで細々書き込みすぎていないか?
一目見ただけで、あまりに「白から黒までの情報量」が多すぎて、(メリハリがなくて)何がこの画面で一番大切なのかとか、一番読者が知りたい「誰がどこで何をしている」かが絵を見て一発でわからない。

そしてこれだけの労力にみあう読者数がついているのだろうか?

なんか今、少年マガジンは女性漫画家の数が多いそうだが
少年漫画が衰退していった始まりが
「少年漫画に登場する美少女」人気でオタク少年向きに少年漫画がオタクっぽく変わり(一般読者が脱落)
そして今は腐女子と言われる女オタクを意識しすぎて「女の子が読む少年漫画」に変貌(オタク少年も脱落)を遂げたんだな・・・と思いました。

ワタシの好きだった少年漫画は過去の遺物となりました。
暑苦しいまでの男の戦いのドラマはいずこへ・・・
「男ってバカだなぁ。(笑)」と思える少年漫画もなくなっちゃった。
小林まことみたいな漫画は女性漫画家にはまず描けないだろうし。
少年漫画における「男」は皆イケメンで顎が細くて(この時点で「強い男」という気がしない)モデルさんみたいになってしまっては少女漫画の男と変わらないわけで。
そして肉体性までも失われてしまった気がする。
(少年漫画から躍動感がなくなった)

どんなに痛そうなシーンも痛みを感じないんだよね。
リアルに描くよりも本当に伝えるべきものが伝わらないのはいかんのじゃないかな。
キャラクターの苦しさが読者に伝わってこそ物語の「リアル」を感じられるのだと思うよ。

いつの時代にもエンターテイメントはその姿を変えていくものだし
漫画だって進化していって今の現状があるわけなんだけど
はたしてそれで成果が上がっているのかと昔読者だったワタシは疑問に思うわけで。

まっ、年寄りは昔の少年漫画を読んで
「い〜〜い男じゃのう。」と懐かしむのがよろしいかと。
もう今の少年漫画はカンケーナイしね。(あんなに好きだったのになぁ・・・)
by mieru1 | 2008-04-02 22:23 | 漫画を描くこと | Trackback | Comments(0)
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