連載も数年経つと、だんだん慣れが出てきて初めての頃と比べると緊張感が薄れてきてしまいます。
そういう時、締め切り前になるとやっと焦りからエンジンがかかったりする訳ですが、これが我ながらイヤで。 「そんな余裕のある身分でもないし、大作家でもあるまいし、何ヨユーコイテンノ?ジブン。」 と自己嫌悪になるのです。 学習まんがはオリジナル漫画と違って、一種の小論文みたいなところがあって、沢山の情報のなかから子供読者に伝えるべき内容の取捨選択、言葉選び、わかり易さ、どうやってまとめよう等、ネームに取り組む前段階で、自分の場合足がすくんでしまうのです。 まるで大きな山を前にして「これからここを登るのか。はぁ・・・・・・。」みたいなみたいな。。。。。。。 で、五合目を過ぎるまでがまた一苦労で。 でも絵を描く段階に入ると今度はもう楽しくなるので、結局この「ネーム作業=頭脳労働」が毎度苦しい訳であります。 (絵を描き終わるまでは時間との闘いになりますが) 10ページの伝記まんがのネームで早くて7時間(これは滅多にない早さ)〜48時間。 30ページ弱の学習まんがで40時間〜60時間がだいたいかかる時間ですが、もちろん扱うテーマによってはもっと時間がかかるし、伝記に至っては幕末が舞台だったりすると、沢山の人々の入り組んだ思想などを説明したり(小学生は6年生にならないと歴史を習わないので基礎知識がない)、いかに省略するのかも難しく、何度もネームを書き直したりします。 しかもそれだけ苦労して描いても複雑すぎて子供たちは読んでない可能性も・・・・・ まして面白いのか、というと自信なし。 人生が短い人や、資料が極端に少ない人だとアピールする部分が迷わず選択できるのですが、長生きした人や、資料が沢山ある人、紆余曲折して中々何をしたいのか定まらない人はまとめるのにも苦労します。 もちろん絵を描く時間のほうがずぅっと長いんですが、やっぱりこのネーム作業が一苦労でプレッシャーになるんです。 で、お題の「いつまでも14番目の月で」なんですが。 「14番目の月」 荒井由実 ユーミンが独身時代最後に発表したアルバムに入っている表題作ですが 歌詞の内容は初々しい恋の物語。 愛の告白をした瞬間から終わりが見える、そんなお話。 「次の夜から 欠ける満月より 14番目の月が 一番好き」 何てうまいことを言うんだろう。 普通は満月が一番好き、と思いそうなのに。 この頃のユーミンは凄過ぎる。冴えまくり。 今の自分の仕事に対する気持ちは満月になってないか? 次の夜から欠けちゃうんじゃないか。 挑戦者として毎月緊張感を持って取り組んだ、ドキドキした気持ちを忘れていないだろうか? 仕事がなくて世の中から自分が必要とされてないんじゃないか、と脅えていたあの頃。 いつまでも、永遠に14番目の月の気持ちを思い出さなきゃいけないじゃないか。 絵を描くのが楽しくて仕方ないとき、本当にこの14番目の月状態になるんです。 そういう気持ちをこのネーム作業でも思い出して取り組まねばっ! よ〜〜し、今夜からワタシは14番目の月になっちゃる! えいえいお〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!
by mieru1
| 2009-01-17 19:13
| 漫画を描くこと
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