タグ:藤沢周平 ( 3 ) タグの人気記事

藤沢周平 必死剣鳥刺し

藤沢周平の短編の中でワタシの中でベスト2になるこの作品。
映画化(まだ上映中か?)のニュースを聞いた時一番に気になったのは
主人公の兼見三佐エ門を誰がやるかということ。

で、誰かというとトヨエツ。

内心エエ〜〜ッと思いました。
だってトヨエツといえばかつては今の福山雅治並に女性から大人気だった俳優さんじゃないですか!
小説の三佐エ門は殿様から「貴様の顔は気持ち悪いから近くに寄るな。」と嫌われるほどのキモメン。
殿様にはその他にも自分の愛妾を殺されたからという一番の原因があるのですが。

小説では次のような描写になっています。

「三佐エ門は醜貌の持主である。
顔色は黒く、額がややつき出ていて、鬢の毛ははげ上がっていた。
その黒い顔に細い目が吊り上がり、唇は厚く大きい。その顔が、六尺近い巨躯の上に載っていると、それなりに釣合いがとれて見えるのだが、近くでまともに顔をあわせると、三佐エ門の顔は性質の荒い大魚のような感じをあたえる。」


ーーーいいのでしょうか、トヨエツで。


で、ワタシの思い描く三佐エ門はこんなお方。



b0013305_162990.jpg

b0013305_162313.jpg





ちょっといい男になっちゃたかしら〜〜〜。(えっ?違うって?)


ヒロイン・里尾は
これまた芯が強くて頑固でいつも黙って自分の胸の内は決して外には出さないという娘なのでワタシの頭の中ではこんなふうに思い詰めたような顔をしています。
b0013305_162435.jpg




小説の前半は短編なので、どうしても主人公の置かれた境遇を説明する部分が多いので
(藩内の事情や力関係など)あまり面白くないのですが、三佐エ門の血のつながらない姪・里尾が出てくるとガラリと変わって面白くなります。
強くて無骨で頑固な武士の悲恋というところが、三佐エ門の藩内での立場云々よりも
ワタシにはグッときました。

同じく映画化された「武士の一分」ですが
小説では寡黙な主人公がかなり感情を表すキャラに替えられています。
小説だと主人公の心理描写が描かれていて共感できるのですが、映像という「目で見る表現」だとどうしても内面を描ききれないので、この映画では更に寡黙な主人公をどうするのか・・と思っています。
どう考えても三佐エ門は激情型でも心情を吐露するタイプでもない。
主人公が何を考えているのか伝わらないと共感することができないので・・・・・。

そしてクライマックスの「鳥刺し」も文字表現の小説ならでは「!」と思えるのです。

(ネタバレ・・・というほどではありませんが
相手の「鳩尾」を刺すというのが「鳥刺し」という名の由来なのかな、と。
それまで「みぞおち」の漢字を知らなかったもので・・・汗)


ーーーというわけで殿様にはキモメン扱いの三佐エ門でしたが
ワタシの脳内ではカッコいいおっさまとして涙涙のお話であったのでした。

しかし藤沢周平の短編は美男美女のお話よりも
こういう見た目が残念な人達のお話の方が良かったりするのはきっとご本人がそういう人達に愛情をもって書いているからだろうな〜〜、と思っています。(わざわざそういう人が主人公というお話自体少ないから)

いや、それが面白いと感じる自分好みということか。(汗)



隠し剣孤影抄 (文春文庫)

藤沢 周平 / 文藝春秋


by mieru1 | 2010-08-10 16:05 | いろんな感想 | Trackback | Comments(11)

ヤバいのである

毎日怒濤のごとく仕事をこなす一方、追加カットや修正が入り、まるで蕎麦屋の出前状態で仕事を片付けていた。
そして今月の山場が終わり、残す仕事もカラー漫画4ページとなった。
やっと通常営業に戻った、と安堵したとたん、仕事のペースがガタ落ち。(汗)
マラソンに例えればいきなり周回遅れの大ピンチだ。
これも担当者さんの締め切りにまだ余裕があるから、という言葉にすっかり気が緩んでしまったからだ。
今までのペースだったら昨日には終わってるはずなのに・・・・

きっと電話すればまだ締め切りは延びるはずだけど、いつまでも仕事を引きずっているのも気持ちがすっきりしない。
とにかく明日の午前中には終わらせてしまおう!と、ここで宣言しておく。
そうでないとまたダラダラしてしまいそうだ・・・・

そんでもって仕事が終わったら下町のナポレオンを飲みつつ久しぶりに藤沢周平を読むんだい!
最後に読んだのは夏の終わり、「秘太刀 馬の骨」だったけど、最後の2ページでまさかの落涙。
本当に藤沢周平は最後の数ページで畳み込むように終わりが来るので気が抜けない。
そしてその数ページ(短篇だと数行)が実に味わい深い。
またあの楽しみを味わうんだ〜〜〜〜。
人気のある長編は楽しみにとってあるので、これから更にハマるのかしら。
さ、早く仕事を片付けよう!っと。
by mieru1 | 2008-11-30 19:38 | 仕事 | Trackback | Comments(0)

時代小説にハマりそう

普段小説は読まず、もっぱらワンテーマである新書関係ばかり買う私です。
(といっても最近仕事以外で本を読む機会も無く)
小説って途中で読むのを止めると続きを忘れちゃったり、好みで無いと読むのを止めてしまうのが何とも気持ち悪くて。

少し時間ができたので、旦那が気晴らしに池袋にでも行ってくれ、というので
それに応えて小説を一冊持って東武東上線に乗ったのですよ。

で、つい先日、朝日新聞の読書特集でとりあげられていた川本三郎氏の記事から
藤沢周平の「橋ものがたり」(新潮社文庫)を持って電車に乗ったわけです。

「時代物」というとまっ先に歴史物、剣豪小説が連想され、
歴史に疎く画数が多い漢字が苦手な私は敬遠していたのですが
古今にこだわらず「庶民」の暮らしが好きな私は「市井もの」という言葉につられ
この小説を選んで買ったのです。
(というか、昔からお城の中の人とか権力争いとかに興味がないんです。庶民なんで。
権力とは違いますが「宮本武蔵」に至っては小説とはいえ、あんなに凄い人材を片端から殺していくのは日本の国力に悪影響を及ぼすのでは?と心配になりました)

「橋ものがたり」の一発目は「約束」。
お互い気になる存在の幼馴染みが5年後あの橋で必ず会おうね、と約束するも、
子供から大人に成長する過程で、お互い純粋ではなくなってしまうのですが
もうこれが・・・・・・読んでいて・・・・・
涙で本が読めない・・・

最初のうちは目が痛いフリをして目頭を抑えたりしていたんですが、
続きが気になるもんでつい読んでしまうと、また涙が盛り上がり困りました。
指でぬぐって解説を読んでほとぼりを覚まします。
う〜〜〜ん、井上ひさしの文も面白い。
で、再開。 
すぐにじわ〜〜〜ん。

仕方なく後ろにまとめてある本の紹介を読む。

「ほほう、『剣客商売』ってこんな漫画チックなキャラ設定なのか。読んでみようかな。」と気分も変わり再読するも、すぐに涙で本が読めない・・・・(つд`)
でも続きが気になる・・・・


結局「ええい、誰も私のことなんて見ていやしないから!」と開き直って
ハンカチ片手で読みましたよ!(たったの38ページ)

この調子で次々と読んでいきました!
短篇集ですので、読みごたえあり、
市井ものなので難しい漢字も出て来ません!!(笑)
結局男の書く「恋愛小説」でしたが、くどくなく、想像の余地を与える書き方なので
何度も読み返していろいろ考えて楽しむ余韻もありました。

一番泣けたのは「約束」でしたが
私の中では「思い違い」がぐんぐん頭の中で妄想が広がり
漫画にしてみたい!とまで思っています。

「思い違い」は指物職人として腕のいい若くてブサイクでもてない彼女いない歴23年の主人公が朝夕、橋ですれ違う美女に片思いする話なのですが・・・・
(以下ネタバレあり)

続きはこちら
by mieru1 | 2007-11-10 00:39 | いろんな感想 | Trackback | Comments(2)