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作家の正体を探るのはヤボ

創作者が表に出ると作品のイメージが壊れるので漫画家も顔を出すな、などと言われます。
そういえば大昔、桑田佳祐が「顔と声が一致しない人」というのに
クリストファー・クロスと小林克也を上げていましたが、それも似たようなものでしょうか?
気持ちはわかるが勝手に妄想を膨らましている方がいけないんではないだろうか・・・?
と思っている時期がワタシにもありました。

去年、新聞の読書案内で薦められていた時代小説の中で
藤沢周平の他に乙川優三郎の「武家用心集」というのがありました。

「橋ものがたり」の次に読んだ時代小説がこの作品でした。
川本三郎氏のお薦めである「邯鄲(かんたん)」よりも「しずれの音」と「磯波」が
印象に残りました。

市井ものと違って武家が舞台のせいか、「橋ものがたり」に比べると堅苦しい感じがしましたが
「しずれの音」は嫁の母を巡る老人介護の問題で現代に通じるようなお話でしたが、
この嫁の心理描写がとてもリアル。
「きっと作者も介護経験があるに違いない!」と思わせるほど。

「磯波」のほうは一人の男性を巡る姉妹の相克で、これまた妹の姉に対しての
敵対心とか女の嫌らしさがよく描写されていて、読みすすめるうちに
「これ作者は絶対に女だ。名前は男性名だけど本当は女だろう。それでなきゃ女脳の人だ!」
と思って後ろにある解説でどんな人物か探ってみました。


「『一九五三年、東京生まれ。千葉県立国府台高校卒業後、国内外のホテル勤務を経て、著述活動に入る。』
情報が氾濫している現代社会にも拘わらず、この程度しか、乙川優三郎の経歴は判明していない。
本名か筆名かもわからない。」(島内景二・解説)


ーーーややや、やっぱり!
男か女かわからないのね!
漫画家でも異性名をペンネームにする人が多いし。
名前の中に女性を思わせる「乙」と「優」が入っているのもさりげなく女と言っているように感じる。
「邯鄲(かんたん)」の決闘シーンがしょぼかったのも、そう思わせるポイントになりました。

ーーーというわけで私の中の「乙川優三郎」は「高村薫」女史のイメージになりました。
彼女も独りで老人介護していたというし。
(高村作品は未読ですが、彼女のイメージからインテリで硬くて女くさくない物語を書くんじゃないか、とこれまた想像なんですが・・・)
唯一男を感じさせるのはその文体でしたが、女でも男っぽい文章を書く人はいるわけで。

こうして自分の推理に独り悦に入っていました。
我ながら鋭い観察眼だと。

ーーーはい、ここまで読めばもう落ちはおわかりですね?

先日本屋へ行ったら乙川氏の文庫本の新刊のお知らせが目に入ったのですよ。
おお、と手に取ってみましたね。
で、表紙をめくるとそこに作者紹介が載ってるじゃないですか。
ショックでしたよ。ええ。

続きはこちら
by mieru1 | 2008-02-01 20:51 | いろんな感想 | Trackback | Comments(4)

好みが狭いことは不幸か?

よく旦那に言われることでカチンと来る言葉があります。
それは「お前は漫画の好みが狭い」ということ。
なんかそれって「お前の器は小さい」と言われているような気がするんです。

旦那は筋金入りの漫画オタク・・・というよりマニアか。
高校時代はエロ劇画を求めてわざと隣町まで買いに行ったというほどです。(どういう方向性だ)
かくいう私は中高時代は時間のほとんどを部活(運動部)に費やし文化的なものを吸収する時間はすごく少なかった。
今思えば多感な時期、あそこまで部活に時間を割いたのはどうなのよ?と
少々後悔も・・・・
イヤ、日本の未来のためにも部活動のやりすぎは良くありません!
皆が皆アスリートになるんじゃないんだから。
もう少し本を読む時間や自分をみつめる時間を与えましょうよ。

お互い幼児の頃から漫画に親しんで漫画読み歴は結構な長さですが
彼はいろんなジャンルを多数読み
私は手持ちの漫画を繰り返し読むという感じでした。
私の場合、単行本は新刊で買うことしか知らなかったのですが
あちらはかなり早くから古本で買い集めることをしていたようです。
よって所有している漫画の数は膨大です。

で、そういう数多くの漫画を長い間リアルタイムに読んでいるので
ちょっとした漫画ハカセですね。
未だにちょっと話題になった漫画はブックオフへ流れて来るまで待って読んでいます。
で、面白いと思う漫画を私に薦めてくれたりするんですが
私はあんまり素直に読んだりしません。

前にも書いたけど「ファンタジー」「SF」は好きでは無く
設定ありきのものよりも「人間」とか「テーマ」が描いてあるものが好きなので
どうしても設定が理解しやすい現実と地続きなものやスポーツものが好みです。

「いろんなタイプの面白い漫画を(勉強のために)読め」というのもわかるんだけど
何でこういうふうに色んな漫画を読まなくなってしまったのか・・と考えると
どうも「子育て」に絡んでくるんですよね。

子育て中は家事だけでなく
学校や地域、子供の送迎、PTAなど雑多な時間が多くて自分の時間をそれらから差し引くと微々たるもの。
これが年中無休、昼夜問わず。
それを20年近くやってきたわけです。
そして今はそこに「仕事」が入っています。

段々私の生活態度自体が
「無駄な時間はない。
自分が楽しいことを高率良くするためには自分の好きなものを中心にしよう」と
超合理主義になっていきました。

だいたいこの「自分の好きなもの」がわかっていることって幸せだと思うんですよ。
年末、図らずも藤沢周平にハマったのも
藤沢周平の後ろには山本周五郎とかもしかして山本一力とか
無限の本が控えているの?と愉しみの金鉱を掘り当てたような感激というか
衝撃があったからです。
「時代小説」というジャンルに行けば自分好みの小説にかなりの高確率で辿り着くことがわかったのです。
今の日本では希薄になった人の情とか生き方とかモラルとか・・・

つまり少ない時間で効率良く愉しみを味わうことができる!
だから今はそれ以外のジャンルの漫画や本をあえて読もうという気は起こらないんです。
そういうのを読むのはもう少し時間的にゆとりができないとね。
そう!時間的にゆとりがあれば読むんです。多分。

あと、勧められる漫画でピンと来ないな・・・と思った理由が二つ。
一つは読むべき時期をもう逸していると思ったこと。
さすがに少年漫画は読んでいても子供の時のように楽しめない。(古い漫画も含む)
イマドキの漫画では若い漫画家の子供時代の環境や感性と違うから心底共感できない。
私の子供時代はもろアナログの世界でしたから。

イマドキの漫画に関しては今書いたことに繋がるんでしょうが
人間の捉え方がズレることかな?
簡単に例えれば今の若い漫画家がかっこいいと思う人と私がかっこいいと思う人は違うよな〜〜。と
三船敏郎とか高橋英樹がかっこいいな〜〜、なんて思う若い漫画家なんていないでしょ?(笑)
あと、漫画やアニメ、ゲームで人間観察をしてきた弊害か
キャラクターがどうもステレオタイプに感じてしまう。
まぁ、自分の頭がそれだけ硬くなってきた証拠でしょう。
こ、これが歳を取るということか・・・!

だからそういう年代的なセンスの違いから
どうしても効率良く自分が面白いと思える漫画は・・・と考えると
古い漫画か同世代以上の漫画家が描いたものになっちゃうんですよね。
彼等とならワカり合える!と。(爆)
で、SFとか省くと劇画とか尾瀬あきらとかの地味な漫画かな・・・って思っちゃう。
この「地味な漫画」というのは流行とかに関係なくストーリーをしっかり読ませてくれる普遍的なテーマを扱ったものかな。
こうしてどんどん爺カルチャーの世界へ・・・・
いや、成長しているのです。(笑)

ーーーということで
自分の好きなものを繰り返し読むスタイルがワタシ流。
何かの本であった「繰り返し読む本がその人にとっての古典になる」という言葉が
すごく気に入ってます。
読んだ漫画の数は旦那に比べれば本当に少しなんですが
読むべき時期に刷り込むようにして気に入った漫画を読んでいた自分は
別の意味で幸せだったな、と思うのです。
by mieru1 | 2008-01-16 00:12 | いろんな感想 | Trackback | Comments(0)

読書三昧

レギュラーの仕事が一月分繰り上がって進行したため
年に一回のお休みになるのですが、ここ数年アウトプットだけの日々の鬱憤を晴らすかのように読書三昧の日々。
私って読書家だったんだ〜〜〜?

父が入院したため電車の中で読む時間もあり
ここ一ヶ月で買った本の数も珍しく多い。
本屋巡りをしても無かった本はアマゾンで購入できました。
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それからここにはアップしなかったけど
ケン月影の画集も・・・(もちろん旦那用ですよ!ってか美人画集かと思ったら春画ですかっ!ーーーーやっぱり・・・・)
漫画も珍しく新刊で買った。「耳かきお蝶」全3巻。

今日は藤沢周平作品の金字塔と呼ばれる「蝉しぐれ」を一気に読破。
切ない恋と、それ以上に良かったのが男三人組の友情。
真面目な主人公にガキ大将格の逸平、ハカセの与之助。
彼等の会話が微笑ましくていい。
そして汚名を着せられ今まさに切腹している最中かもしれない
父の遺骸を引き取りに行くシーンは圧巻。身につまされる・・・
剣術の試合に藩内の権力争い。目の前に広がる自然描写。
それらが簡潔な文章で運ばれ、ぐいぐいと物語に引き込まれます。

それにしてもこれでやっと「ちゃぐりん」のネームにとりかかれる・・・・
藤沢周平は読み切る前に必ず新しい本を買っておくので
常にストックがあります・・・
読み始めると止まらないので買わなきゃいいのにと思うのだけど
気持ちは早く次の一冊が読みたい!ですからねぇ・・・

ーーーそ、それにしてもここにある本は
手塚治虫以外はチョンマゲ関係ばっかりじゃないか!
と偶然の一致に驚いたりしてます。

>>その後の父の容態
何とか生命の危機からは脱出した様子。
しかしまだまだ元気はなく、あんなに食べるのが好きな人が
ご飯は6割方しか食べません。
テレビを見る気力も歩く気力もないけれど、10日間は点滴のみの
水耕栽培状態だったので、ご飯を口から食べ始めてからの回復力には目を見張る物が
あります。

人間、サプリメントだけでなんか絶対に生きていけないと思いました。
by mieru1 | 2007-12-15 01:19 | 近況報告 | Trackback | Comments(3)

時代小説にハマりそう

普段小説は読まず、もっぱらワンテーマである新書関係ばかり買う私です。
(といっても最近仕事以外で本を読む機会も無く)
小説って途中で読むのを止めると続きを忘れちゃったり、好みで無いと読むのを止めてしまうのが何とも気持ち悪くて。

少し時間ができたので、旦那が気晴らしに池袋にでも行ってくれ、というので
それに応えて小説を一冊持って東武東上線に乗ったのですよ。

で、つい先日、朝日新聞の読書特集でとりあげられていた川本三郎氏の記事から
藤沢周平の「橋ものがたり」(新潮社文庫)を持って電車に乗ったわけです。

「時代物」というとまっ先に歴史物、剣豪小説が連想され、
歴史に疎く画数が多い漢字が苦手な私は敬遠していたのですが
古今にこだわらず「庶民」の暮らしが好きな私は「市井もの」という言葉につられ
この小説を選んで買ったのです。
(というか、昔からお城の中の人とか権力争いとかに興味がないんです。庶民なんで。
権力とは違いますが「宮本武蔵」に至っては小説とはいえ、あんなに凄い人材を片端から殺していくのは日本の国力に悪影響を及ぼすのでは?と心配になりました)

「橋ものがたり」の一発目は「約束」。
お互い気になる存在の幼馴染みが5年後あの橋で必ず会おうね、と約束するも、
子供から大人に成長する過程で、お互い純粋ではなくなってしまうのですが
もうこれが・・・・・・読んでいて・・・・・
涙で本が読めない・・・

最初のうちは目が痛いフリをして目頭を抑えたりしていたんですが、
続きが気になるもんでつい読んでしまうと、また涙が盛り上がり困りました。
指でぬぐって解説を読んでほとぼりを覚まします。
う〜〜〜ん、井上ひさしの文も面白い。
で、再開。 
すぐにじわ〜〜〜ん。

仕方なく後ろにまとめてある本の紹介を読む。

「ほほう、『剣客商売』ってこんな漫画チックなキャラ設定なのか。読んでみようかな。」と気分も変わり再読するも、すぐに涙で本が読めない・・・・(つд`)
でも続きが気になる・・・・


結局「ええい、誰も私のことなんて見ていやしないから!」と開き直って
ハンカチ片手で読みましたよ!(たったの38ページ)

この調子で次々と読んでいきました!
短篇集ですので、読みごたえあり、
市井ものなので難しい漢字も出て来ません!!(笑)
結局男の書く「恋愛小説」でしたが、くどくなく、想像の余地を与える書き方なので
何度も読み返していろいろ考えて楽しむ余韻もありました。

一番泣けたのは「約束」でしたが
私の中では「思い違い」がぐんぐん頭の中で妄想が広がり
漫画にしてみたい!とまで思っています。

「思い違い」は指物職人として腕のいい若くてブサイクでもてない彼女いない歴23年の主人公が朝夕、橋ですれ違う美女に片思いする話なのですが・・・・
(以下ネタバレあり)

続きはこちら
by mieru1 | 2007-11-10 00:39 | いろんな感想 | Trackback | Comments(2)