シナリオからコンテへ

長らく放置していました。
シナリオとそれを基におこしたネームをアップします。

これは小学生向けの「算数おもしろ話」を紹介している漫画なのですが、
一つのネタにつき、4ページか6ページ(見開きのみ)でまとめてくれ、というものです。
今回取り上げたのは「トポロジー」という「図形の見た目の情報を無視して目に見えない情報をとらえることによって、その図形の性質を知る」という幾何学の紹介です。

編集プロダクションから渡された物は
このネタについての資料は圧縮すると約一枚
シナリオは「ストーリー案」として(シナリオではない)次のようなものでした。

先生が問題を出します。
「コーヒーカップ、ドーナツ、ちくわ、取っ手がついた2つの花瓶、ガラスのコップがあります。」
「ここにあるものを仲間分けしなさい。」(約5行)
だけ。

これで4〜6ページの漫画を作るのです。
あなたならどうしますか?



ーーーよくあるパターンとしては、解説の資料を駆使して内容を説明するもの。
で、先生キャラクターの台詞で全てを解説させてしまう。
つまりト書きにキャラクターの顔を添えたもの、とでもいいますか。

でもそんな漫画、読んでいてもちっとも面白く無いですね。
子供は読むのを止めちゃうと思います。

で、少し工夫をするとすれば元気なキャラクターを使って、
漫才みたいにボケと突っ込みで楽しい会話をさせて
ノリよく「解説」を楽しく読ませちゃおう、
というのがあります。

でも、この見せ方でも私はダメだと思います。
何故って面白おかしく読んでみたものの、きっと「解説の内容」は頭に残らないと思うからです。
だいたい「解説」までの「つなぎ」として漫画が機能している感じ。
そして肝心の説明は飛ばし読み・・・・というパターン。

では、どうやったら子供達に解説も読ませることができるでしょうか?

ここは子供の「知りたい要求」「知的好奇心」をくみ出して漫画に引き付け
「ナルホド!」と納得させる見せ方(教え方)が重要になってきます。
この「ナルホド!」が学習漫画における「面白さ」だと私は思います。
別に面白いコントが大切なのではありません。 学習漫画ですから。


では、このストーリー案がどのようなネームになったか御覧ください。
見づらいようでしたら画像をクリックしてもらえれば大きくなります。

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いかがでしょうか?
最初のストーリー案も活用しています。

こういうネームを考えていて毎回思うのが
「まるで落語の三題噺みたいだなぁ。」ということ。

「トポロジー」をお題に一つの話を作りました。
「図形の見た目の性質は問わずに本質を捕らえる」というのをアイデアに
見た目の差別から来るいじめとからめてみました。
ストーリー案にあった5つの材料も漫画の内容に合うようにいくつか代えました。
こういうのを全部で24本考えました。
(忙しいので半分以上は旦那がネームを切りました。これは私が切りましたが。)


版元にしてみれば、
「とっつきにくい勉強ものが漫画になっていれば子供は手にとってくれる。
親も勉強ものということで買ってくれるから」という狙いで「学習漫画」という形をとっているのかもしれません。

文章で説明するところが、ただキャラクターの台詞になっていればそれで学習漫画としてオーケーというのであれば、それは志が低い・・・というか、読者をバカにしているというか、漫画という表現方法をみくびっていると思います。

漫画のネームは台詞の位置、コマの区切り、印象に残りやすい台詞や単語、構図など、沢山考えることがあります。
そしてページ配分。ページが足りない、もしくは余ることは許されません。
学習ものに関してはまた、いろいろな枷(かせ)が出て来ます。
それらのことを考えながら短いページ数でいかに理解させるか、に知恵を搾ります。
ですのでネームが終わると一大仕事が終わった気がして絵を描く前にちょっと気が抜けてしまいます。
大変なのはここからなのに・・・・

で、以前に書いたエントリーに戻ると、ここまで色々と知恵を巡らし、学校の先生のようにどうやったら子供達が理解しやすいか考え、そして面白く読ませるか労力を払ってネームを描いていても、その「構成料」は派生しません。
あくまでも「絵を描く労力」のみの原稿料なのです。
もちろんいくら増刷されようと印税なんか入って来ません。

そして「原作者」の一部として名前すら上がりません。
あくまで「絵描き」として名前が出ます。

「漫画とアニメは日本が世界に誇れるメディアだ!」などと言われて久しいですが
それらでガンガン稼いでいる人はホンの一握りなんだということを、もっと麻生大臣みたいな人にはワカッテほしいですね。

私ら末端の漫画家の待遇の悪さをもっと知ってもらいたいと思います。
待遇がよくなるにはそうやってヒット作を持たなくちゃダメですからね。
(もちろん大金を稼ぎ出す漫画家と末端漫画家の扱いを同じにしろ、とはいいませんが
本当に末端は安い原稿料が多いです。依頼先も相場を低く見ている節があります。)

あーーーあ、ワーキングプアは惨めじゃのう。
by mieru1 | 2007-07-06 01:27 | 仕事 | Trackback | Comments(0)
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