学習漫画の絵柄について

私は近代文学や古典を4ページで紹介する漫画の仕事をしていますが、
最近、自分で「何故私はわざと地味なキャラクターデザインを選んで描いているのだろう?」と色々と考えていて思い当たった点を書いてみます。

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まずは読書ボランティアをしていた時読んだ「話すことーよい語り」(松岡享子/東京子ども図書館)でも語られていたと思うのですが、こちらの経験者のブログから引用します。

「読み聞かせボランティアに行ってきました。」

>>大事なのは、読み聞かせで一番大事なのは何か?ということ。

声色を使って面白く演じて読んであげること、それは子どもたちにとって楽しいかもしれないけど、その印象が強すぎると絵本そのものの印象が薄まってしまうかもしれない。だから、絵本の世界を大事にするためにはなるべく読み手の印象を強めてはならない、というのが、なるべく淡々と、という指導の意図のようです。

なるほど。

読み手が派手に演じてしまうと、その後その本を読み返すときもそのイメージがついてきてしまうかもしれない、それは確かによろしくない。 (引用終わり)


この後にも筆者さんは、本の通りに読むのではなく、教室全体にどう聴いてもらうか、笑わすのかしんみり聴かせるのか年齢に合わせてフレキシブルに対応するのが良いのでは?と書いています。

この部分(絵本の読み方)今回私が学習漫画に対する絵柄に共通する部分だと思ったのです。




漫画でお話を紹介する時、普通はイケメン、可愛いヒロインのキャラデザインで描いてしまうと思うのですよ。でも私はあえて地味な、場合によってはモブキャラみたいな顔で描いています。漫画家としては自分の得意なキャラを描いてアピールした方が楽だし読者に受けるだろうと思ってそう選択すると思うのですが
どうしてわざと地味なキャラデザにしてしまうかというとまず長編漫画に出てくるような顔に描いてしまうと読者の期待する方向性が違ってくると思えるのです。

イケメンキャラだったらこの人が大活躍する所を見たくなるのが自然でしょう。
でもこれはあくまで「学習漫画」で数ページで物語を紹介しなければいけません。
このページの目的はかっこいいキャラを活躍させる事ではなく、古典の名作を紹介、知ってもらうこと。
そうすると自然とキャラクターを目立たせなくする方向へ行きます。


そう思うとあおむら純先生や太田じろう先生がわざと地味なキャラを選択しているのも頷けます。
つまり学習漫画では「キャラクター漫画」にしないようにすること。
ある程度長さがある場合はキャラクターの面白味が無いと読もうという動機が薄れて行く場合もあるけれど、短ページの漫画ではあえて必要ないかな、と。
キャラクターが強烈だとその印象しか残らないし学習内容まで記憶に残らない。(先の読み聞かせの体験談と同じですね)

そう思うと漫画と言ってもそのページ数に対するボリューム(内容量)や、何を伝えたいかという目的、
簡素な絵を選択するかリアルな絵柄にするかで、その漫画にふさわしい表現方法があると思うのです。
アニメ「日本昔話」では何故落書きのような単純なキャラクターデザインなのか?にも理由があるのです。

あれは短時間でお話を楽しむのが目的だからです。
長編アニメならまた目的は違ってきますので、同じ題材だからいつもこのキャラデザインでいい、と いうのではありません。
という事で自分が普段やっている漫画はそのページ数、内容でカメレオンのように表現を変えているつもりです。

そうすると学習漫画ではあらゆる絵が描けて(古今東西、様々な物がテーマになりますので)豊かな表現力が必要になってきます。
そういう意味でいつもトホホな気持ちになってしまうんです。

学習漫画では全身がコマに収まり動きのある絵柄が収 まりがよく、そういう点で手塚治虫、太田じろう、あおむら純先生のような古いタイプの絵柄は必要最低限の線で的確に必要な情報を見せる、小さくても人物や感情が分かるデフォルメで本当に素晴らしい絵だと思えるのです。
「絵で見て分かる」が子供漫画には重要なのです。


そういう意味でちゃんとした技術を持っていれば、色んなタイプの学習漫画に対応できる表現が描ける、と思うのです。 器用貧乏、職人漫画家と言うのかもしれないけど長年生き残っていくにはこれしかないのかな?と。という事で地道なスキルアップは必要で目的に合った表現方法を選択できれば、と自分は思うのです。

ここでは主にどの絵柄を選ぶかについて書きましたが、もちろん年齢に合わせて読みやすく、理解しやすくする構成力、伝え方も重要になります。これも馬鹿になりません。(ネーム力)


だから短ページで終わる学習漫画は漫画というカテゴリー内に入っていても、やっぱり特殊な技術が必要なんではないかと思うのです。
by mieru1 | 2014-06-08 15:13 | 仕事 | Trackback | Comments(0)
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