危険な犬、卒業か?

12月2日でフレンチブルドッグのぶん太が5歳になりました。
今、問題犬で悩まれる人達が少しでも未来に希望が持てるように「問題犬」ぶん太とワタシの短い歴史を書いてみます。

思えば週刊連載で犬の漫画を描き始め、犬を知る事と癒しを求めてショップでぶん太に一目惚れしたのが始まりでした。
飼うにあたっては色々と下調べもしたし、本当はそれどころではないけど自分で運命の出会いだなどと思い込んで買ってしまったのでした。

が、しかし。
生後一ヶ月から親犬と離されその後4ヶ月もガラスケース内で育ったぶん太は手がつけられないほどの
ビビリワン子でした。

家に着くなり唸り、撫でれば噛み付き。
叱れば益々怖がって噛む。
ワタシはこんな悪魔と同居するつもりで買ったのではない!
飼い主の方がパニックになりました。

慌てて書店で「犬の問題行動をしつける」本を買い求め、仕事の合間に勉強。
飼育を放置できる訳でないので、早くしつけなければ、ともう必死。
躾本が犬の取り扱い説明書になってました。

「犬が飼い主を噛むのはアルファシンドロームと言って自分がボスだと思っているから。」ーーーそんなの初めて知りました。
「犬のルールを知らないのでそういう犬はひっくり返しておとなしくなるまで押さえ込むと犬は飼い主に服従するようになる。」ーーーー怖いけど藁をもすがる気持ちでやりました。
益々関係が悪化しました。
ワタシもノイローゼになりました。

これらの本では犬の個性に合わせて対応してないからと思い、トレーナーさんにすがりつき、必死になってトレーニングしました。やはり一対一での指導は自分の対応のどこがいけないのか、どうしたら犬に指示が伝わりやすいのか教えてもらえて、受講して良かったと思いました。
何より悩みを受け止めてもらえるのが一番でした。

図書館で「犬の問題行動」「犬の行動学」の本を読みまくり、「もしかして精神に異常がある犬なのかも?」と獣医さんに安定剤まで出してもらいましたが変わらず。
ホメオパシーなんてものもありましたが、薬で効果が出ないんだからとこれには触らず。

受講後もそれ以上よくなる気配もなく、その頃同じように噛み犬に悩むオーナーのサイトにたどり着きました。
それまでの体験談が書いてあり、すごく充実したサイトで「ここだ!」と思いました。
同じ悩みを共有する人達との交流で救われました。
いわゆる世間一般の犬の躾では通用しないからです。
そしてそういう特別な犬を他の人達にわかってもらえない辛さ。
噛まれてもう飼いたくない!と凹んだ時、皆から応援してもらったこと、すごく嬉しかったです。
可愛がっているのに噛まれることの悲しさ、怖さ。皆わかってもらえました。

どのオーナーさんも言う事をきかせようとして厳しい躾をして益々犬を怖がらせ悪循環になっていました。
(マズルを掴む、等)
そこで唱えていたのは「犬を噛ませない状況、環境を作る」ということでした。
まずは「噛む」体験を減らすこと。





正直、この段階でもぶん太が怖くて怖くて、鼻ぺちゃ犬専門の里親サイトふがふがれすきゅーくらぶさんにも相談しています。
飼い主が怖い、飼うのが辛いと思いながら飼われるぶん太は不幸なんじゃないかというのと
早く厄介者から解放されたい、という気持ちでした。
週刊連載の他にも仕事が沢山あり、心身ともにゆとりはありませんでした。
一応、ギブアップしたらその時は引き取ってもらう約束をしました。保険みたいなもので、いざとなれば「ふがれす」さんがある、と思うと少し気が楽になりました。

ワタシは犬との関係が悪化して飼い主がノイローゼになる苦しさがわかりますので、里親へ出すことがいけないことだとは思っていません。
ただ、里親に出したからにはもう二度と犬を飼う資格は無いと思っています。
結局ぶん太を里子に出さなかったのは自分が今後一切犬を飼う資格が無い落伍者になるのがイヤだったからです。
動物好きを自負していたのに、この体たらく。自分は犬を飼う資格さえない自称・動物愛好家だったのか、と自己嫌悪、罪悪感を持つのがイヤだったんですね。
そしてもう二度と犬を飼うことは無いんだという寂しさ。

噛み噛みワン子オーナーさん達と交流するうち、最初に読んだ「犬の躾本」に対する疑問は益々強まりました。
「犬は飼い主に服従するもの」「余計な構い方をしないで数時間でもクレートに入っているクレートトレーニングをする」など、何のために犬を飼っているの?それで飼い主は楽しいの?
そんなに犬を奴隷扱いしなくちゃ行けない訳?
服従できない犬は失格なの?
犬と人間の関係ってそんなに冷たいものなの?という気持ちがどんどん強まりました。
そして同じ悩みを共有する彼女達の飼い犬に対して諦めない愛情。
そうだよね、どんなに怖い犬でも本当は皆可愛いと思ってるんだよね。
噛まれる度に手放したくなる自分は彼女達と比べて愛情が少ないんじゃないかと悩み。
でもいつか、ぶん太と楽しく暮らせるようになりたい、と思い続けていました。

ダンバー博士の本もあまたある躾本もシーザー・ミランの本も自分にはしっくり来ませんでした。

そんな時に思い出したのが「ムツゴロウさん」でした。
ちょうどムツさんのお弟子さんが「飼育マニュアルに吠えろ!—2000匹が教えてくれた犬の真実 」
という飼育本の過ちを正す本を出版したこともあり、自分が躾本に対して感じていた疑問を解消してくれました。
「厳しい躾が犬を壊す」という言葉がしっくりきました。

犬は奴隷なんかじゃない、家族なんだ。と。

ーーーそんなこんながあってムツゴロウの動物王国のブログを発見。
時々ムツゴロウさん本人が飼い主の悩みに答えていて、それがまた経験に基づいたものなのでとても信頼できるものでした。
「もしかして突然噛むのも手を開いた状態に反応するのかも?」と思い、ぶん太の前ではパーの手をしないようにするだけで怖さも半減しました。
ぶん太も4歳を過ぎたせいか、少し落ち着きも出てきました。
この頃(今年の4月くらい)からやっと、ぶん太を撫でることに恐怖を感じなくなりました。

そして今現在。
大嫌いな耳掃除(濡れタオルで耳の穴をサッ!と拭くだけですが)も怖くなくなりました。
ものすごく唸って以前の自分だったら絶対できなかった行為も、こちらがリラックスしながら拭いているのでぶん太にもそれが伝わるのか、唸っていながらも身体に緊張感が伝わってきません。つまりただ不快で唸っているだけ。
ここに飼い主の緊張感や、押さえつけてやろうという「恐怖や強制」を感じるとぶん太も恐怖感から噛み付き行動になるんだと思います。

この時、自分の中でやっと恐怖感を克服して本来の犬と飼い主の関係に近づけた、と思いました。

犬との関係に悩んでいる人へ。
今の関係は辛いですが、すぐに良くなることはないので、焦らずに。
躾で言う事を聞かせる前に犬と飼い主の信頼関係を築くのが先です。
躾はその後。
犬はアナタのことが怖いのです。そこへ訳の分からない服従の躾をすれば犬は益々恐怖から噛み付くようになります。
飼い主はキミと仲良くなりたいんだよ、という「安心感」を植え付けるのがまず先です。


「犬はいつまでもこの状態じゃない、常に変化するもの」と例のサイト主の主治医が言っていたと思います。
人間の対応しだいで犬も変わっていくのです。
そして犬を育てることは人間関係と共通することが沢山あります。
やっぱり生き物同士、感じる心は共通するんだと思います。
アナタの犬と自分の立場を置き換えて想像すると見えてくる部分もあります。

アナタと犬の関係が良いものになりますように。
やっとぶん太を「愛犬」と呼べるようになったワタシから心よりお祈りします。
by mieru1 | 2010-12-08 12:19 | ぶん太 | Trackback | Comments(3)
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Commented by そる at 2010-12-09 17:07 x
泣......................。
Happy-Lucky-Pockyも見てきただよ。非常に良いサイトだった。噛み犬に愛情込めて接するのは、間違い無く功徳を積んでいる事だと改めて実感しただ。特にぶん太氏は最初(みえる家に来た時)から既に噛み犬だった訳だから、この4年半の歩みはまじ大変だっただろうが、前にも言うたが、ぶん太氏はみえる家に来てホントに良かったよ。わしはぶん太氏ではないが、彼が今幸福な事は、敢えて断言する!(何者だわしは)
良かったなぶん太氏!良かったなみえるさん!すごいぞみえるさん!

Commented by mieru1 at 2010-12-12 22:53
>そるさん

今思えばぶん太はあんなにちっこい幼犬なのに一人で自分を守るために戦っていたんですよね・・・で、訳のわからないことをされて益々混乱、不安になって。仲間もいないし人間の言葉もわからないし。何にも拠り所がなかったんですよね。自分がぶん太だったら同じようにパニックになっていたでしょう。
で、世の中では「噛み犬」として処分されてしまう犬もいるんだと・・・
犬の気持ちを思うとやるせなくなります。やっぱり飼い主には諦めて欲しくない。辛いけど。

4年半もかかりましたが、やっと普通に撫でられるようになり、以前のように突然訳もわからずに噛むということは無くなりました。(もちろん注意は必要ですが)人間の生活の内容もわかってくるだろうし、精神的な落ち着きも相まってやっと好循環のサイクルに入った気がします。

Commented by mieru1 at 2010-12-12 22:55
>続き

撫でることができれば「手が気持ちいいもの」という安心にも繋がるだろうし、こちらが可愛いと思えば犬も嬉しい気持ちになるだろうし。
育犬ノイローゼまっただ中の時はストレスの素でしかなかったけど諦めないで良かったと心から思います。
もしも里子に出していたら今も罪悪感にかられていたと思うし、苦難を乗り越えられなかった挫折の記憶になっていただろうし・・・
犬はやっぱり人間のかわいい仲間です。
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